いらいらするのでブログでも書く。
豆腐洗い猫は宇宙の天上にいた。
一神教の神の手下として働いていた。
一神教の神の部屋は、公団団地の一階で、
サッシの扉を開けると、庭にはゴミとかピザの包み紙とかが落ちていた。
いつも暗い天上で、苔が微妙に発光していた。
宇宙の天上だから神々がたくさん暮らしていた。
公団住宅は神々でいっぱいだった。
神々は多い。大体、我が国だけで八百万の神がいますのだ。
ギリシャローマ神話とかを元ネタにしたイタリア映画を「サンダルもの」というそうだ。もちろん仏教の大量の仏様たちもおいでになる。
南米の鉱山の神ティオも忘れてはいけない。
この前、プロ野球界の天才バッターとして神の殿堂入りを果たした
豆腐谷トーテムズの牧貝東五郎選手もいる。(参照http://masejunko.net/weblog/2009/11/post-8.html)
銀杏の植えられた公園で、あと、腕を振り回すみたいなにもだえ苦しむような形のソメイヨシノが咲いている。牧貝東五郎選手は野球のバッドを持って公園を徘徊している。日本の神様たちは、おみくじ用の歌を詠んでは、
地上に送り届けておられた。神主さんたちは神社社務所に備え付けの
ラジオでその歌を受信するのだ。
『ぬばたまの 黒毛和牛の 肉......』
『命なるかな』
『黄金なす 秋の木の葉はみな造花 人ごとならで 大気汚染す』
神々のまとう綺羅は星の如く、光沢があって、
なんか光っている。お神酒が届く。
巫女たち処女たちの祈りが、公園の砂になっていた。
豆腐洗い猫が砂を踏むと、砂の一粒一粒に浮かんだ処女たちの美しい顔が
潰れて、血を流し、鼻の軟骨が潰れた。嫌だにゃーと猫は思った。
『かくのごとく神々に踏みつぶされた処女は地上では皆不幸になるのですよ』
通りすがりの偉い神様が豆腐洗い猫に言った。
『その代わり、虹の橋を渡って水晶の牢獄やマンディアルグの小説や耽美小説のヒロインに生まれ変わることができるのです。
あなたの踏み方は中途半端です。処女たちに幸福のために、もっと徹底的に踏みつぶせよ猫よ』
ああ自分は本当に零落神だから駄目だ。もっと磊落にならなければと
豆腐洗い猫は思った。
偉い神様は、裸足で、小さな女の白い胸を踏みにじった。肌がぷりっと潰れた。
なんか芋虫とか
蓑虫は最近見ないが、蓑虫を私は自転車で踏みつぶした時に
クリームシチューのような汁が蓑虫の蓑から滲み出た。それを今思い出した。
そして、ふと気づくと、私の記憶にあるより
東京の鳩が図々しくなっている。近づいても逃げない。昔はもっと近づいていっただけで飛び立った気がするんだが。
特に、昨年暮れに見た、多摩センターの鳩は何かすげー図々しいことを思い出した。
多摩センターの、昔の未来っぽい近代建築の駅前開発の、二層建てになった下の層が車通りで、バス停とかがあって、上の層が人間が歩くところである。駅から出るとすぐに大きな橋があったような気がする。(あまり覚えていない)
その、橋の横の、タイル敷きの一角に鳩が何十羽も、およそ四畳半くらいの広さにわたって、羽を膨らませて固まっているのである。私が近づいていっても、三十㎝くらい怠惰に歩いて逃げるだけである。手を出したら、やっと飛び立ったが、思いっきり羽に触れるのだ。
豆腐洗い猫は最近はいつも
主人である一神教の神に遣わされ、調布や甲府にいたのだが
今日は用事があるから戻ってこいと命じられたのだ。
彼らは公団住宅に住んでいるので、
今日は公団住宅の住民会議だった。
一神教の神はそのような俗世のことより
善悪の決裁とかのほうが大事だった。そして公団住宅の庭を見渡す部屋で、
教典を書き続けていた。
豆腐洗い猫は委任状を持って、
集会場に行った。集会場のある棟は、一階が回廊になっている。
棟の側面に掛けられた時計が止まっている。
回廊の下にも、小さな処女たちが玉砂利のように敷き詰められている。
豆腐洗い猫はいつも豆腐を洗ってオカラがこびりついて、
柔らかい猫毛がごわごわになっている猫手猫足を
なるべく処女たちに与えるダメージが少ないように
一生懸命大きく飛んで、しかも着地は軽いようにした。
踏みつぶされた処女たちが囁く。
『この程度の神の試練では、私たちは』
『せいぜい、』
『中学生のノートのエロ落書きにしか』
『サド侯爵のヒロインになりたかったのに』
ぐしゃっと潰れながら言った。
纏足をして歯を抜いて、そうフェラチオがうまくできるように。
神にお仕えするために、ネイルアートをした爪も抜いて
髪も皮膚がくっつくほど酷く抜いて。
私の美しい顔から眼球を取り出して膣を穿って。
豆腐洗い猫がようやく天上公団住宅集会所に入ると、
中は神々でいっぱいだった。
豆腐洗い猫は、受付に、一神教の神からの委任状を渡した。
さて、そして会議が始まるわけだが
ここで一神教の意外な弱点が明らかになる。
それは
一神教は多数決に弱い
ことである。
議題は公団住宅でペットを飼うことの是非だった。
飼っているのは一神教の神だけだった。
つまり飼われているのは豆腐洗い猫だけだった。
多数決......ペットOK派は荘重な一神教の神だけである。
というか他の神様は家来とかいないのか? 式神とかそういうやつ。
投票の結果、5678億2450万3267柱 対 1 で、採決された。
神々は言われた。「ではペットはすぐに追い出しましょう」
豆腐洗い猫はびびりまくり、畏まってこそこそ退出しようとした。
回廊を神々が追いかけてこられる。そして歌。
『ちはやぶる 神の齋垣で ペット飼う 多数決にて 破れるものを』
豆腐洗い猫は、回廊の先の下りエスカレーターに乗ったが、
神の手が猫の首をぐいと掴んだ。神の手は、豆腐洗い猫を摘むと凄まじく大きくなった。親指と人差し指の指先だけで、バドミントンのラケットくらいあるのだ。
豆腐洗い猫は、後ろを振り向いて豆腐を三つ投げた。
神々が !最上級! 金箔と聖人の血入り豆腐! を食べているうちに
豆腐洗い猫は下りエスカレーターを駆け下りた。
